写経とは
本来写経は、貴重なお寺の財産であったお経を複製するために、模写を行っていたことから始まります。当時、印刷技術の発達していなかった時代では、こうした貴重なお経や仏典は、人の手による書写にのみ複製することができたのです。仏教の普及により、一人でも多くの僧りょが必要となり、また僧侶たちが学ぶうえでも、書写が必要不可欠でした。こうした貴重な書写品は、僧侶による講義や研究に必要なもので、また学ぶうえでも修行の一環として捉えられ始めました。
そのようなことから、いつしか写経は功や徳を積む功徳として説かれるようになり、写経そのものが功徳を得る一つの手段として用いられ、信仰や供養として行われていたのです。現在写経は、般若信教の書写を指すことが一般的で、信仰や供養という側面は薄くなり、また学ぶために写経を行うことはめったに無くなりました。
写経を行うメリット
写経と聞くと、一般の方であれば、仏教徒が行う儀式や修行などといったイメージが強いものですが、現代での写経は書写を行うことによって得られる効果について、注目度が上がってきています。もちろん写経は、そもそも僧りょによって始められたもので、貴重な経典を学んだり流布したりする上で欠かせないものでした。しかし、写経を行うことによって、様々な効果が得られることが分かり、科学的な分析結果によって、具体的にその内容も明らかにされてきました。
写経の効果は、まず脳を活性化させるという効果がわかってきています。これは、写経により文字を描く行為となりますので、脳内の動きを活発に働かせるのです。そして、正しい姿勢で写経をすることによって、背筋が伸び猫背や腰痛の矯正にも役立ちます。写経そのものも、大変有り難いものとして、集中力や忍耐力が高まり、心身ともにリラックスやリフレッシュ効果が望めます。
写経の楽しみ方と作法
写経を行っていくにつれ、その効果は如実に現れ、書くほどに字も上手になっていくことで、実際にその効果を体現できることとなるでしょう。基本的に、写経を行っていく上で、必要なものは筆と用紙だけですが、まずはお手本となる般若信教が描かれた見本を手に入れることになります。現在では写経用に売られている般若信教の教本も販売されており、写経用に枠線が引かれた和紙なども付随しています。
値段は、千円前後で販売されていることも多く、文房具店などでは比較的簡単に購入することができます。筆も本格的なものではなく、市販されている筆ペンなどで代用し、気軽に写経を楽しむことができるようになっています。写経の作法としては、無心になるためにも静かな環境で、部屋をきちんと片づけた状態で写経を行うことを心がけていきましょう。写経を楽しむことで、心身ともにポジティブにもなっていきます。